『座頭市(2003)』★★★☆☆
つまんなくない、これでもかというくらい面白い要素が詰め込まれているし、座頭市のキャラもよかったのだけれど、なんか今ひとつ乗れないまま終わってしまう。殺陣の迫力もいいし、時代劇にダンスやリズムを取り入れるのも面白いのだけれど、どうにも一貫した「描きたいもの」が像を結ばないまま終わってしまう。
まだ大してたけし映画を観ているわけではないのだが、北野武作品の細部に行き届いた眼差しが、時代劇だと機能していないのではないかと感じてしまう。ちょっとした所作、設定、会話の機微、そうしたものが、実際に経験していない時代設定だと、説得力が生まれない。結果として細部の詰めが弱いままになってしまう。
コミカルな人物も随所に登場するが、彼らも「コミカル」というだけで終わってしまうんだよなあ。彼らにあまり流れがなく、ただ出オチと、各シーンのギャグだけで終わってしまう。飛び道具が飛び道具のままで終わってしまうのでは、大きなお話にはならない。
楽しむには楽しんだんだけど。なので★三つ。