『バグダッド・カフェ』★★★★★
バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2010/06/26
- メディア: Blu-ray
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人から勧められて観た、というのもあるかも知れないけれど、魅力的な映画だった。これといって派手派手しい部分はない。違う国に生まれたまるで境遇の違う女性二人の友情を描いて、笑わせ、そして静かに終わる映画なのだけれど、観ている間ずっと暖かな気持ちだった。こうした映画を作るのが一番難しいと思う。
たとえば、カフェそのものの内装、壁に貼ってあるポスターや写真、調度品。息子がずっとバッハを練習していたり、娘が連れてくる友人たちがことごとくうんざりするような奴らだったり。そういった一つ一つに、細かなアイディアが含まれていて、それが飽きさせない。美男美女は一人も出てこないけれど、脇役のような人ばかりが出てくるけれど、愛さずにいられないような登場人物ばかり。
描くべき最小限をきちんと描いて物語は終わる。徹頭徹尾、奇跡的なバランスで成り立った愛を組み上げて作られている作品。よくもまあ、こんな理想的なモーテルの建物があったものだなあ、と感心した。役者も皆上手く、芝居に見えなくなることすら。こういう作品は、狙っては作れないからこそ、価値があるのだろうと思う。