『ショーン・オブ・ザ・デッド』★★★★☆
数年ぶりに見返しての感想だけれど、こんなに厳しくて激しい話だったか……と感じた。同監督の新作『ベイビー・ドライバー』を観た後だからである。
以前鑑賞したときは、おバカゾンビパロディ系コメディとして観ていた気がする。実際そうなのだ。主役のサイモン・ペグのコメディアンとしての実力が高いので、かなり辛いことをしていても陰鬱な印象にならない。イギリス流のブラックユーモア満載だが、どこまでいっても陽気なのだ。
また、『ベイビー』でもやっていたアクションの音ハメ(音楽との同期)は本作でも何度も出てくる。ロックの名曲も登場し、ひときわコミカルに使われる。それでも、物語としては実はビターだった。この後の『ホット・ファズ』『ワールズ・エンド』の中だと、『ワールズ』がひときわビターな印象だったが、実際は一作目から、かなり辛いものを乗り越えていく物語だったのだ。
そしてエンディング(オチ)もコメディとしてみれば笑えるが、傷を乗り越えるのでも解決するのでもなく、受け入れることで生きていかなければならない、という意味合いに取れば、必ずしも笑ってばかりもいられない。