週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『トータル・リコール(1990)』★★★☆☆

 

  フィリップ・K・ディック原作で、近年もリメイクされている作品の初代。実に……荒っぽいけれど、愛すべき80年代SF(90年作品だけど)、という印象。期待通りジャンク、という理想的な娯楽映画。

 突っ込みどころはもう数え切れないほどあって、そもそもシュワルツェネッガーの芝居が非常に硬直しているものだから、記憶を奪われた男の悲哀、みたいなものは全然ないのだが(笑)、そのおかげで至って気軽に観ることが出来る。バーホーヴェン監督らしいグロ要素も満載。すぐに身体がはじけ飛んだり目玉が飛び出たり、なんかよくわからんミュータントが出てきたりするが、その辺も飽きずに観られるジャンク味に感じられる。

 そもそもシュワルツェネッガーを取り押さえるにしては敵の準備も面子も機器も全部不足していると思うが(主人公より強そうな敵が一人も出てこない)、その辺はご愛敬。とにかくマシンガンでばばばばばと撃ちまくって撃たれまくって、でも一発も主人公には当たらない、というのもこれだけジャンクな雰囲気を作っていれば特に気にはならないものだ。

 原作も読んでいるが(正直ほとんど覚えてないけれど)、こういうアクション満載で火星を救え、みたいな話ではなかった……と思う。でも、これでいいのだ。二時間きっちりお客を楽しませて帰らせる、という目的は果たしているわけだし。最近のSF映画はとかく深刻化していて、人生への問いかけとか文芸的懊悩とかに充ち満ちているか、もしくはユニバース化して他のシリーズも観てね、状態になっているけれど、これぐらい割り切った娯楽映画は作られないものかなあ、と思う。作られないんだろうなあ。