『実録三億円事件 時効成立』★★☆☆☆
Netflixに入っていたのでなんとなく邦画を観たくて視聴。うーん、超微妙。
冒頭で三億円事件のシーン自体は早々に終わってしまう。犯行そのものは広く知られているのでさっさと終わらせたのだと思うが、特に新しい要素の強調、犯人のすごさの演出などはなく、至って平凡に実行されていく。
確かに主人公(=犯人)像を平凡というか平均以下のろくでなしに設定した以上、頭の良さの演出などは難しいのかも知れないが、犯人サイドから描く事件ものは犯行シーンが山場になるものだろう。巧みな犯行計画とかはこれといって描かれず、とにかく犯人がいきなり犯行を決意していて、後は白バイの改造とか細々した作業を行うばかり。
なぜ、犯人はこんな凶行に至ったのか、という部分を掘り下げればよかったのになあ、と感じる。
犯行後は至って地道な捜査のシーン。ここで唯一よかった、刑事のキャラクターが発揮される。なかなか味のある人物で、この人の芝居を観ているのは楽しめた。後はあっさりしっぽを出す犯人の愚かしさ。三億円芸もなく使っちゃったらダメでしょう。案の定ばれる。全体として、事件の解釈にこれといった特色、特徴がなかったので、解決出来なかった理由が「犯人が頑張って隠れていた」以外何もなく、これでは映画の時間大半を保たせようがない。
そして何より余計だったのが、実際に事件の捜査を行った刑事のインタビューを冒頭に挟み込んだこと。実録感を出したかったのだろうが、刑事が言ったのは「こんな金をあっさり使ってくれる犯人だったら、とっくに捕まえてますよ(って感じだったと思う)」という身も蓋もない内容。そりゃそうなのだろうし、自分のプライドを保つためにはそう言うしかないのだろうが、制作サイドも入れるなよそんなの、という感じ。おかげでずいぶん頭から興がそがれる。