『バーフバリ 伝説誕生』★★★☆☆
最近あちこち身近で話題になっていた作品だったので観てみた。インド版『マッドマックス』との評判だった。楽しいは楽しいのだけれど、心掴まれるほど強烈なインパクトはない、という印象。もっとはっちゃけていても全然よかったぐらい。
登場人物はみんな神話的な思考をしている。理由とか因果関係は気にせず、「そういうものだから」という発想で行動する。なぜ強いのか、なぜ凄いのか、それはもう「バーフバリ(主人公)だから」というだけ。起きる出来事はどれもこれも論理的ではないので、それを楽しめるかどうかが分かれ目になってくる。『マッドマックス』というよりは、貴種流離譚である点で『スターウォーズ』に近いかも知れない。
しかし物足りなさは残る。まず、単純に登場人物の区別が付かない(笑)。知らないインドのスターだからだ、というのはあるのだが、外見上の違いがほとんど付けられていないので、どっちが主役でどっちが悪役なのかも途中で混乱し始める。ほとんどががたいのいいひげ面の男性なのだ。髪の色とかタトゥーとか服装とか、パッと観て違いが断定出来るようにしてもらいたいところ。
また、神話の主人公だからなのだが、主人公自身が抱えている悩みや問題がない。ほぼ「桃太郎」や「金太郎」と変わらない。なので、「この人はなんでこんな冒険を繰り広げているのだろう・・・・?」という根本的な疑問を感じがち。もちろんそういうお話を楽しむ作品ではないのだが、ひたすら楽天的に崖を登り悪漢を倒し周りから祭り上げられていく主人公は、感情移入とかとはかけ離れた存在である。『マッドマックス』のマックスは異人として排斥され、暗部を抱えたまま去って行く。バーフバリは(今のところ)特にそんなことはない。女を追いかけ女を見つけて仲良くなって彼女のために戦ったら自分は王の一族だった、という超展開である。これをOKとするか否かが人に寄るだろう。
前後編構成の前編として作られているので、最後まで観ても「なるほど!」とはならず、いわゆる「引き」で終わってしまうのも残念なところ。まあ正直少年向けバトル漫画に非常に近いので、『GODZILLA』のときほどがっくりは来なかったのだが。
2作目は・・・・・・ビデオレンタルしていたら観るかなあ・・・・・・というぐらい。