『バーフバリ 王の凱旋』★★★☆☆
観ようかどうしようか、などと思っていたが、あまりに話題になっているのでもしかして、と思い、レンタルが早くも始まったことも手伝って視聴。確かに面白い映画だったが、そこまでか、とは正直感じた。
ストーリーは前作からの続きで、というか元々二部構成の後編で、とりたてて何か特筆すべきポイントはない。全ての登場人物に心理描写と呼べるものは存在しない(思ったことは全部口に出してる)が、これは神話として描いているためで特に問題はない。そういうものを求めるような映画ではない。
そして、やっていることは「戦い、そして勝利」。『マッドマックス』以上にシンプルである。バーフバリすげえ、と思うための映画である。この作品は、「カッコイイとはこういうことだ」というのを頭から終わりまで詰め込んでいるタイプの作品で、少年漫画でたまにある系統に属する。いろんなアイディアが飛び出し、その全てが「バーフバリカッコイイ」と思わせるために機能している(たとえば『刃牙』のような)。
この作品が少し変わっているのは、親子二代の物語を描いているところ。王の系譜の物語でもある。そして、前後編合わせてもストーリーの半分以上は父親バーフバリの回想に割かれている。しかしながら演じているのは父も息子も同じ俳優である。なのでストーリー全体を通してみると、ちょっと感情移入はしづらい。息子はあんまり描写されてないし、父は人生全体が描かれているが、「すげえ」以外特に感想は持ちづらい人生だったりもする。
ただ、そうした何もかもも狙い通りなので、批判するのは筋違いである。何度も書いているように「そういう映画」だから仕方ないのだ。神話というのは「神様すげえ=人間業じゃねえ」と思わせられればOKなので、それが出来ているのだから全く問題ない。バーフバリの操縦する船がなんの説明もなく空を飛んだあたりでは手を叩いて笑った。半端ねえ人の半端ねえ事蹟を観て楽しくなれれば成功なのである。
いろんな人が褒め称えすぎていたせいか、現状の2倍くらいの濃度の作品を想像していたので、逆に意外とあっさりしてるな、なんて思ったりもしたが、先入観が強すぎたのかも知れない。純粋にアイディアの量だけでいっても『怒りのデスロード』のほうが多いかな、という気がして、もっと脳を揺さぶるような映画にも出来るような気もするけれど、具体的な案はないので勝手なことを言うのは控えよう。