『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』★★★★☆
MCU作品は、『アイアンマン』三部作、『キャプテン・アメリカ』1作目、最初の『アヴェンジャーズ』、『ドクター・ストレンジ』はすでに観ている。
『アイアンマン』はどれも面白くて3作目が一番よかった。『キャプテン・アメリカ』はやや微妙で★3つ。『アヴェンジャーズ』は突っ込みどころ満載で頭を抱え(なんであんな重要な基地を空に浮かべておくのか)、『ドクター・ストレンジ』はカンバーバッチが好きなので期待して観に行ったら怒りながら帰ってくる羽目になった(こんな時代にオリエンタリズムの塊のような作品を見せられるとは思いもしなかった)。
たぶんファンタジー寄りの作品にはシンパシーを感じないのだろう。『X-MEN』もまだ1作目しか観ていないのだが、不思議な力を取り込んだ「なんでもあり」な世界観には感情移入がしづらい。
そんな感じで打率はやや低いという印象なのだが、今回の『ウィンター・ソルジャー』は面白く最後まで観た。キャプテン・アメリカは設定がかなり荒唐無稽な割りに動機がやたら純粋という、うっかりするとひどい出来になりかねない題材だが、リアルな問題を取り込むことで犯人側の行動に緊張感を与え、サブプロットにキャプテンと親友の友情物語を配置して人間的な側面も目配りを忘れない。アクションシーンも徹底してアイディアを詰め込み、飽きがこない設計。スパイアクション映画に近い内容だった。カットが猛烈に多くてやや眼がちかちかするのが難点か。
複雑な戦略を敵・味方どちらも展開し、しかも裏切りを重ね秘密を大量に抱えているため、一見しただけでは何をやろうとしているのかわからなくなるシーンも存在する。しかし、要点できちんと状況を整理し、次のシークエンスでのミッションが何なのかを最小限に整理して提示する。「××を探すんだな」「●●を倒すんだな」「◆◆から逃げるんだな」だけわかれば、細かい力関係が正確に把握出来ていなくても最後まで観られる。そして詳細な正解が気になったら、後からファンサイトを巡って考察を観ればいい。
ネットでネタバレが当然になった時代にエンタメ映画を作るには、それぐらいの情報量を詰め込みつつ観客を混乱させない脚本術が不可欠なのだな、と改めて感じた。