『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』★★★★★
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: Blu-ray
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★4か5か迷ったけれど、全体的な隙のなさが見事。また、アヴェンジャーズを崩壊へと導いた敵が、至って普通の人間である、という凄み、それを全く違和感なく成り立たせるプロットはただ事ではない。かなりの作品を飛ばして観ているので「これ誰だろう」と感じる人もままいるのだが、それも気にならない構成だった。
多数決的な正義か、個人の正義か、という大きな問題は、前作同様結論は出ていない。結論が出せるほど簡単な問題ではない。どちらも正しくなれないし、清濁飲み込むより他はない。この作品が巧みなのは、犯人の動機も含めて、登場するほとんどのキャラクターが「多数決の正義」=平穏の希求と「個人の正義」=怒りと悲しみの両サイドに振り回され、前者を理解しながらも後者に取り込まれざるを得ないところだろう。
特に、ラストシーンへいたってのトニー・スタークへの揺さぶりは、伏線の見事さも相まって素晴らしかった。むしろ、誰が正しい、という結論を出さず、そもそも出せないような問題を扱いながら、それでもヒーロー映画として物語を収めてみせているのが驚きだと思う。全てのヒーローが、きちんと最後までヒーローだった。
ブラック・パンサーの前日譚としても、キャプテン・アメリカの友情の物語の最終章としてもきちんと成り立たせている。全ての登場人物が痛みを負い(スパイダーマンを除く。あれでいいのだけれど)、前を向いてエンディングを迎える、という大人の物語になっている。スパイ映画やポリティカルフィクション、戦争映画でやっていることをヒーロー映画で成り立たせつつ、2時間半という尺を長く感じさせない、佳作だった。
(・・・・でもトニー・スタークにあの映像を見せるだけではダメだったのかな。それに、ラストシーンは偶然全員があのタイミングであの場所に辿り着いたから成り立っただけで、それを犯人がコントロールすることは出来なかったんじゃないか・・・・? ちょっと気になる)