『マイティ・ソー』★★☆☆☆
大変ヒーローづいているので、今週もヒーロー映画を観る。周りの人から「ソーの1本目は地雷だぞ」と聞かされていたので怖々観たが、怖がっていたほどひどくはなかった。ただ、言いたいことは大量にある。
まず、題材やアイディア自体は悪くない。神様が地球に降り立ったもんだからトンチンカンな行動やコミカルなシチュエーションに陥る、という状況は面白いし、ソーもけんかっ早いが至っていい人、というキャラクターで愛され系。ロキも悪役になりきれないコンプレックスの塊として行動しているので憎めない。門番の寡黙なキャラも悪くなかったし(まさかイドリス・エルバだとは思わなかったけど)神様周りはそれほど悪くなく感じた。
ただ、とにかくヒロインがよくない。ナタリー・ポートマンの無駄遣いもいいところ。とても物理学者を真面目にやっている頭のいい人物には見えないし、行動も思いつきが連続していて、思想や信念がある人物には見えない。「どうしてこんな珍妙な研究(学会で理解されない異世界の研究)に心血を注いでいるのか」ということがさっぱり伝わってこないので魅力的に見えないし、結局ソーのことが好きになっちゃう系となってしまうともう底の浅い人でしかない。まだマッドサイエンティストを露骨にやりきってしまうほうがよっぽど笑えただろう。
のみならず人間サイドはどいつもこいつもぼんやり突っ立っていて眺めているばかりで(神様同士の喧嘩だからある程度は仕方ないにしても)、何か意味のある行動をしろよ、と突っ込みたくなる。何かを実現しようとか発見しようとかいう計画性のある人物が皆無で、何か起きたら「様子を見よう」、危険になったら「逃げろ!」の連続。せめてもっと神話を調べてみるとか、ソーに話を聞くとか、ソーが出来ることを探ろうとするとか、やれることいろいろあるだろう、としか思えない。
「暴れん坊過ぎて神の世界を放逐されたソーが人間界に降り立って迷惑掛けまくり、マッドサイエンティストのヒロインが彼の謎を明かそうとガンバルが周りは一所懸命止め、そんな中、更に続々人間界に神々がやってきて大混乱」の笑いをもっと強調したら絶対面白くなったと思うのだが。もったいない。
アンソニー・ホプキンスも無駄遣いとしか思えなかったなあ・・・・。やりたいことはいろいろあったけど、脚本の練り込みが足りなかったとしか思えなかった。残念。