『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』★★☆☆☆
連続して観てみた。一作目の弱点だった人間パートの物足りなさは補強されていた・・・・けれど、今度は神様パートが楽しくない。結果、総合点は変わらず、という感じ。
全体の半分くらいを神様世界の対立に使われているのだが、うーん、正直、この作品のファンタジーはスターウォーズ+ロード・オブ・ザ・リングといった体裁で、特にオリジナリティがあるわけではない。ハイ・ファンタジーはその作品でしか見られない世界観を楽しめることが第一なので、このシリーズで九つの世界が直列して・・・・とファンタジー設定を見せられても一向にわくわくしないのだ。
また、1作目ではロキの非常にわかりやすい動機が悪役サイドの行動目的だったが、今作では悪役が何をやりたいのか今ひとつよくわからない。エーテルを手に入れたい、まではいいのだが、それがどうしたのか。キャプテン・アメリカのような現実ベースの世界観だと複雑な動機設定が可能だが、ファンタジー世界では観客がその世界の常識を把握していないので、シンプルな、人間の根源的欲求に依拠するような動機にするしかない。そういう意味では、ソーとロキの兄弟愛を(一瞬)描こうとしていたのはなかなか胸熱。
逆に人間パートは、1作目ですこぶる薄かったそれぞれの人物像を、全員奇人変人方向に伸ばすことで面白くすることに成功している。エリックとか全然あんなイカれた人物じゃなかったと思うのだが、いいのだろうか。ヒロインもマッドサイエンティスト方向に変化しているし、ヒロインの助手も空気を読まない変人と化している。もっと現実世界パートが長かったらよかったのに・・・・と思わずにいられない。
ところで、浅野忠信の扱いはなんだったのかな・・・・とかなり感じた。冒頭シーンで訳のわからない理由で異世界にほったらかされてそのまんま。1作目でも大して登場シーンがあったわけでも使いやすかったわけでもないから、おしまいにされたのだろうか。なんというか、ポリティカル・コレクトネスを意識してアジア系俳優を使うにしてももうちょっとまともな登場のさせ方は出来ないものだろうか。数あわせのように出演させていても面白くもなんともないのだ。