週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『キサラギ』★★★★☆

 

  久々の邦画。今週はヒーロー映画はお休み。脚本がいい、と聞いて観て、確かによく出来ていた・・・・けれど、釈然としない部分もいろいろと。

 

 しっかりしたキャストが細かく組み上げられた脚本を元に演ずる密室劇。舞台演劇のような内容。すでに起きてしまった事件についてこの場で語らい続ける、という方向性としては『十二人の優しい日本人』に近いか。ただ、この作品は陪審員という事件そのものと若干距離のある人々が登場しているのに対し、本作は当事者たちが語り合っている、という点で若干の違いがある。

 

 一番筆者が気になったのがその点で、全ての登場人物が事件に対し、少しずつ責任を負っているのだ。無関係な他人だと思っていた人物たちが、皆事件と何らかの関わりを持っている・・・・という物語。そして最終的に、みんな彼女と無関係じゃないんだ・・・・彼女は偶像だったのだなあ・・・・みたいなオチに辿り着いているのだが、正直強い違和感があった。

 

 何しろ、死に少しだけ関係しているのだ。もっと衝撃を受けて然るべきではないのか? 自分のやってしまったことがきっかけで事件が起こり、人が死んでいるのだ。しかも自分の愛するアイドルが。筆者だったらショックでしばらく絶句でもしそうなものだが、登場人物たちは「そうだったのかぁ・・・・」「なるほど!」みたいなノリ。ちょっと理解しかねる。

 

 途中でオチがどうなるのかは大体予想が付いたので、伏線を張りに貼った挙げ句、「最後の最後に、全員が彼女を結果的に死なせたようなものだ」という残酷な結論に辿り着き、みんな顔を覆い、それでも彼女の死を背負って生きていく・・・・ぐらいビターな結末でも個人的には充分面白いと思うのだけれど、それだとウケないのかなあ。

 死んでしまったアイドル目線で物語を捉えたとき、あまりに救われないと思うのだ。彼女の怨霊がいつ現れてもおかしくないとすら思う。