週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『マイティ・ソー/バトルロイヤル』★★★★☆

 

  ついに最後の一本。

 

 前2作が正直微妙だったソーシリーズだが、今作でようやく、正しい「雷様」の描き方が完成したように感じた。細かい笑いの挟み込み、近年のMCUで必ず入っているメッセージ性も欠かさない。愉快で見応えのある映画だった。

 

 とにかく、ソーはマーベルヒーローの中でも特に荒唐無稽な種類のキャラクターなので、マジメに描いても面白くならない。同じく荒唐無稽・・・・というか、強すぎてまとめづらいハルク(しかもマーク・ラファロのコメディセンスも付いてくる)をセットで出すことで、気楽に楽しめるヒーロームービーであることが全体にはっきりしていて、ほぼ地球が出てこない物語にもかかわらず終始楽しめた。

 

 悪役も、ケイト・ブランシェットの演技力も相まって魅力的。「暴れん坊」ってうっかりするとおバカにしか見えないのだが、彼女は知的で狂気に満ちたキャラを演じきっていた。イドリス・エルバは相変わらずカッコイイ。

 元気で力持ちで馬鹿だけといい奴、という、本来観たかったソーの映画がようやく現れた、という感じ。そして、物語冒頭でなぜか唐突に流れたあの名曲が、きちんと意味のある伏線だったのにも満足。ドタバタ珍道中映画なので重たいメッセージ性はないが、シリーズを見続けていると想像だにしない結末が、悪役・ヘラのキャラクターと共に、納得いく形で描かれている。これもまた、社会的な問題提起もしている上に、ソーというキャラクターにとって大切な堀り深めにもなっているのだ。

 

 つまり、「王とは何者か?」ということ。考えてみればこの物語全体も、王が奴隷に身をやつす、という昔話・神話的な流れを、極めてポップに描いていた。

 

 これでMCUは現時点で全作品鑑賞完了。安心して『インフィニティ・ウォー』を観に行ける。お祭りは参加するに限るのだ。