週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』★★★★☆


「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」

 この1本を観るためにここ1ヵ月で12本のMCU映画を観てきたのだが、ようやく集大成。結論から言うと、大変満足のいく作品になっていた。感想を一言で言うなら、「とにかく楽しい」。

 まずはネタバレナシの感想。

 

 とにかく登場人物が多く、他の作品で主役を張るクラスの俳優が何十人もぞろぞろ出てくる。なので普通にやるとどれかのキャラのファンが不満を感じることになりそうだが、見事なことに全く全キャラ遜色なく活躍していた。主要キャラ全てに見せ場を用意し、キャラクター性を示すセリフを用意し、ちょっとしたコミカルなやりとりを用意し、同時にそれでストーリーを展開していく、というのは尋常なことではない。

 しかしそれを、150分という長尺とはいえ成り立たせている。頻繁に笑いが起こりながらもストーリーは進み続け、ほとんどダレる瞬間もない。過去作を観ていれば懐かしい人物から最近作のキャラまで画面の隅々まで登場し、劇場中のファンたちは大喜びだった。

 

 物語そのものは非常にシンプルで、「サノスが石を集める」というだけ。とにかくそれをありとあらゆる手段で阻止しようとする、というとにかくそういう映画なのだが、過去の各キャラクター、特にソー、アイアンマン、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの物語の大きな終着点になっているので、過去作を頭に入れていると細かい描写も含めて飽きが来ない。

 特に、今回初めて加わったガーディアンズ・オブ・ギャラクシースパイダーマンが、全体を非常にポップでコミカルに変えているのが見事。前アベンジャーズまではとにかく登場キャラが全員マジメなので話が重く、その割りにやっていること自体は大仰なのでややかみ合わない部分があったのだが、今回は今まで以上にぶっ飛んだ展開を上手くまとめることに成功している。

 

 何より、興味深いのはストーリーを通して、次第にヴィランであるサノスが魅力的になってくるところだろう。初めて見たときは「なんだろう、わかりやすすぎる悪役の顔だなあ」というぐらいのマッチョにしか思っていなかったのだが、今回始めて彼の「哲学」が明らかになる。それはヒトラーに類する極めて横暴で身勝手な、自らを神と勘違いしたものなのだが、彼自身はそれに使命感を覚えているのだ。

 初めて見るサノスの人間味、自分自身の戦いへの本気の没入。彼自身は、別にこの戦いに勝利しても何の旨みもないし、得もしない。ただただ自分の信念のために善意に基づいて活動している・・・・という、最もたちが悪いタイプの悪役である。

 

 おそらく物語を通して、最も印象に残るのはサノスの奇妙に”優しい”その瞳だろう。ジョシュ・ブローリンの巧みな演技がこのキャラクターに厚い魅力を与えている。そこに魅力を感じてしまうのは「誤り」なのだが、しかし、どこか彼にシンパシーを感じてしまう。ダース・ベイダージョーカーに近いものだろう。

 何もなければただただ激しいバトル映画になっていたところだが、サノスの異常な哲学と行動力、悲しみが観客を引き込んでくる。脚本家はインタビューで「これはサノスの映画だ」と言っていたそうだが、まさにその通りだし、実に正しい選択だろう。完結編まであと一年というのがとても・・・・待ちきれない。

 

 

 

 

*以降ネタバレあり

 

 

 

 

 さて、「衝撃」の展開だと謳っていたのでよほどすごいことになるのか、と思っていたのだが、正直、全て想像の範囲内だった。驚いたのはガモーラが死んだところぐらいかな。アイアンマンが死ぬぐらいのことは全然起きてもおかしくないと思っていたので(自分がプロデューサーならそれを選ぶかな、と思っていた)、サノスが勝つことも予想どおりだったし、そういう意味での驚きはほぼなかった。

 

 少なくともブラック・パンサーやスパイダーマンガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々が本当に死んでしまうとあの超絶ヒット作の続きを作れなくなってしまうので(そもそもすでに制作は決定している)、何らかの形で蘇生するとは思うのだが、ロキやガモーラは本当に生き返らないのではないかなと思う(印象に残るような死に様の演出からしても)。

 

 細かく観れば突っ込みたくなるところも多少はあるのだが、一番気になったのはドクター・ストレンジがインフィニティ・ストーンをサノスに渡してしまった下りだろう。「なんでやねん!」とかなり感じた(突然の千手観音と同じくらい)。あれだけ大切にしていたくせに割りと呆気なく、それも別に旧友でも何でもないトニー・スタークが殺され掛けた程度で手放してしまう。

 明らかに怪しいので、たぶんこのあたりが伏線になって、あとはエンディングで予告されたキャプテン・マーベルと、今回登場しなかったアントマンとホーク・アイあたりが重要な役割を演じて、この戦いが終結するんじゃないかなー・・・・と来年の5月までわからない予想を立てておこう。