『フロム・ダスク・ティル・ドーン』★★★★☆
なんとなくタランティーノ作品を観たくなったけれどすでに全作品観ていたので、彼が出ている作品をチョイス。事前にいろいろ評判というか、どういう映画なのかを聞いていたので、まあ期待通りの作品。意味とか考えちゃいけないんだろうな(笑)。
タランティーノも監督のロバート・ロドリゲスも作品を観たことがあるので、方向性はよく知っている。「映画オタク」「ジャンルの裏をかく」「突然の暴力」「パロディ&引用」等々。本作もその方向性で、しかも特にイカレている。
どうしてこうなったんだろう、といろいろ考えたが、たぶん単純に「好きなモノ」を片っ端からぶち込んだ結果なのだろう。『マッド・マックス』や『彼岸島』、あるいは『ワンピース』などと変わらない。犯罪映画とB級ホラー映画が好きなので、両方やった、それだけで、それ以上の意味を求めてはおそらくいけない。構成としては『デス・プルーフ』と同じだろう。
この作品を面白くしている非常に重要な要素は、俳優・クエンティン・タランティーノなのは間違いない。他の職業俳優と違って、常に危険で、一歩先で何をしでかすかわからない異常性を漂わせている。『風立ちぬ』の庵野監督と同じだと思う。彼らに共通しているのは「面白さのためなら何をしてもいい」という生き様の覚悟が、演技から伝わってしまうところにある。
なので正直、後半タランティーノが出なくなってからは(もちろん彼の狂気に満ちたキャラクター設定が故でもあるが)、次に起こる出来事がある程度予想出来てしまう物語に回収されてしまっているのが残念。そう、観る前まではもっと破壊的なお話になるのかと思っていたので、思っていたよりもちゃんとした「犯罪映画」と「B級ホラー」だったのが物足りなかったのだ。壊れているならもっと壊れていて欲しいし、意外とまとまりのいい話にするなら前半と後半をある程度繋げて、何らかの物語としての「意味」を付与して欲しい気がする。
しかし、全体としては大いに笑いながら観たので満足。ジャンクフード的な満足感。