週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『私はあなたのニグロではない』★★★☆☆


I Am Not Your Negro Featurette - Baldwin (2017) - Documentary

 仕事の関係もあって、観てみた映画。小さい映画館で上映していた文芸系ドキュメンタリー。タイトル通り、アメリカにおける黒人差別について描いた作品で、ナレーションはサミュエル・L・ジャクソン。アメリカの作家・ボールドウィンの視点から、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、マルコムXら、活動家の姿を描写している。

 

 昔の映画などを観ると、非常に型にはまった黒人ばかりが登場してくる。あれらは結局、白人によって求められた役割を作品の中で果たすことで、そうした黒人に対する固定観念を安定させ、世に広めることに成功したわけだ。だが実のところ、現実の本物の黒人はそんなステロタイプにはまった人物ばかりではなく、またそうした描写の再生産を観ながら、ボールドウィンは幼少時から常々不快感を覚えていた・・・・という語りから始まる。

 

 正直、ドキュメンタリー映画としてはかなり切実な問題を扱っているものの、伝えようとする内容が固まりきっていない印象を受ける。この作品を通して黒人差別問題をどう受け止めればいいのか、「筋立て」がはっきりしていないように感じられたのだ。

 もちろん、ドキュメンタリーはあくまで「事実」を活写したもの、とされる。しかし実際には作り手の視点が入り込み、一定の「創作」を伴い、作り手なりの「結論」を示して欲しいと思う。今回の作品にはそうした作家性はほぼ感じられず、純粋にその時代の出来事を切り取って終えた、という印象だった。

 一番印象に残ったのは、今まで名前だけしか知らなかったマルコムXの、鋭利としか表現のしようのない眼差しだった。