週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『君の名前で僕を呼んで』★★☆☆☆


映画『君の名前で僕を呼んで』大ヒット公開中!!

 アカデミー脚色賞を受賞した作品。そろそろ文芸的な作品をたくさん観たいということで観に行ってきたのだが、うーん。個人的には全くピンとこなかった。

 

 17歳の男の子が父親の客である24歳の男と出会い、一夏の恋に落ちる、という物語。なのだが、文芸的を通り越して無音というか、事件らしい事件は全く起きずに話が続く。本当に主人公である男の子の内面に起きた変化以外に、イベントは発生していない状態なのだ。

 なので、何をきっかけで主人公が変化を遂げていったのか全くわからない。女友達とつきあったり、男と遊びに行ったり、対立したりと小さな出来事はぽつぽつ起きるものの、それが主人公にとってどんな意味を持っているのかは全くわからない。無粋なのは百も承知だが、ナレーションでも入っていてくれればずいぶん違っただろう。

 

 なので結果として、全体で描かれているのは本当に、「少年の一夏の恋」というポスターに書いてあることのみ、以上でも以下でもない。映像や舞台となっている土地の美しさは文句ないので、観ていて飽きはしないのだが、ではこのお話をどう受け止めたらいいのだろう、作り手は何を描きたかったのだろうとどれだけ考えても、結局全くわからなかった。17歳の夏、少年が性と愛に目覚める。それはいいだろう。それで? ほとんどの少年は何らかの形で目覚めるだろう。この物語を語る意義、特別性は?

 評価は高いので、刺さる人には刺さる作品なのかも知れないが、非常に消化不良に感じられた。音楽はミニマル調のピアノでなかなか美しい。