週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ランボー 最後の戦場』★★★☆☆

 

ランボー 最後の戦場 [DVD]

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  ようやく最新作(最終作ではないらしい)。スタローンは『ロッキー・ファイナル』という奇跡の傑作があるので結構期待して観たのだが、うーん、さほどではなかった。

 

 2作目3作目のような荒唐無稽なヒーローではなかったものの、リアリティを追求した分カタルシスは弱まっている。また、物語の原因になる医師団のミャンマーへの入り方も、いかにも「何も考えていない軟弱者どもが無計画に戦地に入っていったせいで」と感じさせるようなシチュエーションになっているのも気になった。彼らの無謀さ、愚かしさが、物語を盛り上げるための道具としてしか描かれていないのだ。

 つまり、「ランボーはすごいぞ、立派だぞ」と感じさせるために存在している、という感じ。悪役が悪いというよりも、彼らの志が悪いかのように感じさせてしまっているので、人道的な振る舞いを愚かしく描いてしまっているのだ。

 しかもそのキリスト教系医師団の男性は柔弱で頑固でおろか、女性は柔軟で誠実、というのもステロタイプな見方で、これも「ランボーは凄いなー」のためにキャラが配置されているように感じられるのが疑問だった。

 

 要は、ランボーを持ち上げるために全ての登場人物が存在しているように感じられるのである。ランボーとはそんな人物だっただろうか? わざわざ称揚しなくては偉大さが感じられないような、奥行きのないキャラクターだったろうか? まあ、ランボーも最後にはいつも人を助けるために無私の念で行動してしまう、という点で本質的には彼らと同じであり、同族嫌悪(しかも力がない者たち)を抱いていたのかもしれないが。

 医師団の振る舞いは正当だけれども、ランボーが自らがもう信じることの出来ない「正義」に苛立ちを覚え、板挟みに遭い、その中でもミャンマーの軍は非道な振る舞いを続ける、というだけでもよかったのではないだろうか。

 

 アクションシーンの面白さ、容赦なく飛び散る肉塊の表現はよかった。人体は簡単に壊れるのだ、ということをスタローンは描きたいのだろう。もっと重く、深みのあるないようにも出来たであろうが故に、余計に残念。