『エクスペンダブルズ2』★★☆☆☆
スタローンは好きな役者で、ロッキーもランボーも全作品観ている。その上で彼のもう一つの当たりシリーズキャラ、バーニー・ロスについても一つ観ておくか、ということで、以前観た第1作に引き続き視聴。しかし残念ながら1作目を下回る印象。
1作目の時点で本当にこれといって何があるわけでもないアクションムービーだった。ロッキーにある負け犬の這い上がり、ランボーにある絶望、そうした主題は感じられず、ただすげー奴らが組んでやべー戦いをする、という以上でも以下でもなかった。戦い方に意外性があるわけでも、ストーリー展開に驚きがあるわけでもない。
2作目の本作はブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー本格参戦、チャック・ノリス参戦、ジャン=クロード・ヴァンダム参戦、といったところに感動があり、スマブラ的興奮はさすがにあるのだが(スタローン、シュワルツェネッガー、ウィリスが並んで戦っている部分はさすがにテンションが上がった)、だからといって何をするのかと言えば銃を乱射するばかりで、例によって敵方のほうが銃口の数は多いのに一発も当たらず、スタローン側は一撃で1人ずつ仕留めていく。神のご加護があるのだろう。なにせスケジュールが苦しいから戦いに工夫を作りようがない。
ヒロインとの恋愛沙汰に無理やり持っていかないあたりは悪くなかったが、結局やっていること全体はランボー2作目以降と同じ、世界の彼方に悪い奴らがいるからぶっ殺せ撃ち殺せ、の乱打。一度ぐらいアメリカ国内で内戦する映画でもやればいいのに、と思うが、政治的にはそうも行かないのだろう。未だに冷戦時代の遺物を悪役の設定に引っ張り出してくるのにはおそれいった。
スタローンの芝居自体はなかなかで、きっちりロッキーやランボーと演じ分けている。当たり前と思われるかも知れないが、外見的に大きく変えるわけでもなく、マッチョな戦闘兵器的男性しか演じていないのに役作りで別人に見せるのは、マリリン・モンローと同様のすごさを感じる。彼女も、セクシーでグラマラスで頭の悪い白人女性役しかやらせてもらえなかったのに、きちんとどの役も芝居を変えていたと思う。ロッキーには誠実さ、ランボーに狂気があるとすれば、バーニーには虚無感が漂っているだろう。
しかし観れるところと言えばそれぐらいで、他にはもう、本当にこれといって何もない。そのうち3作目も観るだろうが、一体何をやるのだろう、これ以上。