週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『グレムリン』★★★☆☆

 

  昨日に引き続き、80年代の古き良きアメリカ映画、さらにクリスマスムービー、さらにファンタジー、さらに郊外の町並みでのドタバタ、さらにCGを使っていない遊び心あるエンタメ作品、とこれでもかと好きな要素が詰め込まれた作品を鑑賞。

 この通りどこをとっても好きなタイプの作品(『BTTF』『グーニーズ』『ホームアローン』あたりのスピルバーグ制作総指揮系)なのでかなり期待して観たのだが・・・・うーん、期待外れとまでは言わないが、かなり緩い内容だと感じた。

 

 モグワイというキャラのアイディアは面白く、善悪表裏一体の奇妙な生物を飼うというのはいろんなハプニングを期待させる。奇妙な発明家の父親、夫に対して思うところあるけれど何も言わない母親、ライバル感ある同年代の銀行の上司、いたずらっ子っぽい近所の子ども、複雑な家庭環境を感じさせるヒロイン、漫画家志望の主人公。今にも動き出しそうなドラマがひしめき合っている。

 しかし驚くことに、この要素のほとんどが特に動かないまま終わる。別に漫画家としてガンバルという展開もなく、ライバルがモグワイにやられるということもなく、父親の発明は要所要所のギャグ以上にはならず、母親は全く設定と関係なく活躍する。ヒロインの家庭環境も、とってつけたような説明セリフでおしまい。別に成長譚にしろとは言わないが、何だったんだあの前振り、と言わざるを得ない。

 そもそも、モグワイを飼うシーンも非常に短く、ギズモにきちんと愛着を抱く前に物語が展開してしまうので、変貌を遂げるショッキングなシーンも今ひとつ効きが弱い。外見の愛らしさでカバーするにしても、もっと主人公と心を交わし合うシーンぐらいあってもよかっただろう(あったらETになってしまうからやめたのだろうか?)。

 いずれにせよ、人間関係が全く動かないまま物語が終幕するのはいささか異様ですらある。クリスマスファミリームービーとして100分の枠を遵守しないといけなかったのはわかるが、だからこそ人間性の描写をカットして、ひたすらかわいいキャラを動かすほうに振ったのはいただけない。商業的には正しいのかも知れないが。

 

 モグワイのパペットの動きや表情の緻密さ、ストップモーションアニメの併用の巧みさは賞賛に値するのだが、ストーリーと関係しないギャグがあまりに多すぎる。そのシーンだけで笑いが終わってしまうのだ。「モグワイかわいいし凶悪化した後のパロディギャグも面白いからいけるだろ」と片っ端からネタを詰め込んだ挙げ句、消化不良になった印象。一貫した筋立てを作れれば傑作にもなり得たろうに、非常に残念。