週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ヘルボーイ』★★★★☆

 

ヘルボーイ [Blu-ray]

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  デル・トロ監督の初期作品。ネットフリックスで視聴期限が切れるので慌てて観賞。異形を愛する監督らしい、優しくセンスに満ちた作品。

 

 とにかくヘルボーイのキャラクター造形が圧倒的に見事。外見はプロレスラーのよう、地獄から来た化け物、何をしてもダメージを受けない強靱さ。しかし中身はまるで思春期の少年で、恋に盲目。恋愛のライバルが現れると前後不覚になり、ペットは猫、食べるものはジャンクフードばかりで、普段は部屋に籠もってテレビばかり観ている。

 愛するしかないような可愛さと強さを兼ね備えたキャラで、闘いとなったらとにかく頼れる。相方の半魚人もヒロインも、育ての親の博士も、ついでにちょっとしたお付きのFBIたちも、皆愛すべき人物像。単にカッコいいだけではなく、きちんと弱さも兼ね備えた設定はとにかく絶品。

 

 また、舞台設定のうさんくささも、その描写も、実に程度を弁えていて、やり過ぎていて醒めたり滑ったりすることもなく、ユーモアを終始たたえている。マジメすぎてもこの手のオカルト系ファンタジーは興ざめなのだが、どこか少しとぼけた雰囲気なので気持ちよく嘘に浸ることが出来る。

 もちろん、単にオカルトオタク的な設定が乱舞するだけでなく、そうしたものに興味の無い人にも刺さる物語性、メッセージ性もしっかり備えている。ヒーローものとしては比較的昔の作品だからか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的まとめの言葉も存在している。

 

「何に生まれるかではない。何を選ぶかだ」

 

 それはモンスターだけに当てはまる言葉ではない。

 CGの質自体は、すでに15年以上前の作品ということで気になるところはあるが、逆に実際にセットで作って撮影している部分が多いので、そうした造形物の見応えは存分にある。かわいい化け物を観たければオススメの良作。続編を見るのも楽しみ。