週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツオトナ帝国の逆襲』★★★★☆

 

  子ども時代から下ネタが苦手で、金曜の夜はクレしんよりも断然ドラえもん派だった。テレビで流れていても観ないことがほとんどで、結果劇場版も全てスルーしてきている。名作と呼ばれる作品が何本もあるのは知っていたが、なかなか観るきっかけが出来ずこの歳まで来てしまった。

 Netflixに入っていたが近日配信終了ということで慌てて観賞。実は期待したほどではなかったのだが、説教臭くなりすぎずきちんとギャグアニメの範囲内で作っている。

 

 どこからかやってきた「イエスタデイ・ワンスモア」という組織の手で開催される20世紀博の世界に、大人たちが囚われてしまう。とーちゃんかーちゃんが連れ去られた今、懐かしい時代の匂いにしんのすけたちが立ち向かう!というのがあらすじ。

 この作品が作られたのは2001年ということで、昭和懐古ブームが起きた『三丁目の夕日』あたりよりもかなり前。もっと言えば、オリンピックだの万博だのを再度招致しよう、などという身も蓋もない方向に政治周りが進む前だった。予言がここまで当たってしまうのにはうんざりしてしまうが・・・・。

 

 アイディアが抜群にいいのだが、クレヨンしんちゃんそのものはギャグ漫画原作、アニメは更にギャグ度が高いこともあり、合間合間に笑いを取るためのギャグシーンが入ってくる。コメディの場合は展開と絡めての笑いが可能だが、ギャグはネタを挿入する形を取るので物語りそのものはそこで停滞してしまうのは致し方ない(ストーリー展開で笑いを取るのは複雑すぎて子ども向けとしては不適切だし)。

 観賞するまではもっといっそ大人向けに振り切っている作品なのかと思い込んでいたが、実際はきちんと子どもが楽しめる場面を組み込んでやるべきことはこなしている。繰り返されてきたひろしの足がくさいネタと昭和の世界を組み合わせる方法も見事。視覚や聴覚以上に、匂いは人間の思い出に関わっているのは間違いないし、何より、映像で匂いは表現出来ない、ということを逆手に取っているのだ。鑑賞者ごとに思い浮かべる匂いは違い、だからこそ目の前で描かれる画以上の効果をもたらしている。

 

 実写リメイクの企画もきっとあるだろうし、まだまだ広げようのあるネタだと思うのだけれど。『20世紀少年』があるから不要になってしまったような気もする。