週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ポリス・ストーリー 香港国際警察』★★★★☆

 

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  ジャッキー映画は実はほとんど観てきていない。Netflixにまとめて入っていたので、ここらで観てみようと観賞。

 正直なめてかかっていた自分が恥ずかしいぐらい、ガチンコでヤバイアクションに大興奮。トム・クルーズで騒いでいる場合じゃなかった。

 

 冒頭の山奥の村での荒っぽいガンアクションは苦笑していたが、細部よりも演者たちの狂気の宿った目付きに次第に緊張感が高まり、そしてそのまま始まるカーアクション、そして伝説のバスアクション(これはウッチャンがパロディをやっているのを昔観た記憶がある)。夜中にベッドで観ていたのだが、興奮で声を上げてしまった。

 最近のアクション映画ももちろん面白いものは山ほどあるのだが、当然どの映画も安全に最大限配慮して撮影が行われている。俳優の命が大切なのは今も昔も変わらないとはいえ、今はワイヤーなどで身体を護ってもあとでいかようにでも加工が出来る。この時代の映画では当然そんな安全策など欠片もないのだから、ただただ危ない物は本当に危ない。それでも、「ウチの映画はよそより面白い」ということをみせるためには、本気で命を賭けるしかなかったのだろう。

 

 また、当然アクションは素晴らしいが、それ以上に意外なほどストーリーがちゃんとしていた。あらすじは、「一種の司法取引で証人になってもらう悪役の秘書を主人公が守り抜く」というしっかりした内容で、コメディとして描いてはいるものの、安易な恋愛沙汰にも逃げず、それでいて展開に無駄はなくアイディアに不足はない。

 その上、中盤の裁判シーンではそれなりの説得力のある論展開で、悪役を追い詰める困難ぶりを正面から描いている。こういうシーンは面倒くさくなると「なに!? 保釈ってどういうことです!?」みたいな言葉を一言挟んだら済ませられるのだが、なにせこれをきちんと描く必要がある作品なのだ。

 ほとんどのシーンが荒唐無稽な捜査活動を行っている以上、他の部分は補強としてリアリティを持たせなければ、ストーリー全体に説得力が生まれない。登場人物の心理も、早足ではあるもののきっちり転がし続けている上、「話を進めるために登場する頭の悪い人物」的なキャラクターが登場しないので、この時代の大衆エンタメ映画としてはかなり小気味よく見続けることが出来る。

 

 もちろん、荒っぽい部分がないとはいわない。主人公が突然怒り出したシーンでは少々置いてけぼりにされた感もあった。シナリオも作りながら考えていった部分もきっとあるだろう。だが、全体として、この時代のこの場所の熱気、そして、「いい映画を作って成り上がっていきたい」という情が全面に感じられて、細部はまあよし、と言わせてしまう迫力に満ちている。さすが。