『キャノンボール』★★☆☆☆
収拾つかず、の感は否めないドタバタカーレース
タイトルは未だに類似の物を随所で見かける、80年代のカーアクション映画。
バート・レイノルズ、ロジャー・ムーア、ジャッキー・チェンなど本気でスターが出まくり(ジャッキーの名前が筆頭に来ている情報も多いが、彼は脇役である。主役はバート・レイノルズ)にもかかわらず、半端ないB級感あふれる1作だった・・・・憎みきれないけれど。
内容は正直、『デス・レース2000』と五十歩百歩といったところ。アメリカに実在した非合法カーレース、キャノンボール(大砲の弾の意)を題材にして、珍妙な参加者たちが続々集結し、ゴールへ向けてひた走る。お色気シーンあり、アクションシーンあり、笑いあり、涙はほんのちょっとだけあり(1セリフぐらい)、といった盛りだくさんの娯楽作品。
なのだが、いかんせんまとまりが全く無い。登場人物が多すぎて処理が追いつかなかったのか、話の軸がさっぱり見当たらず、目先の出来事だけで保たせていくつくりである。豪華俳優陣でそれでもある程度は観られるのだが、今の客からすれば普通知っているのはジャッキーぐらいだろう。
ロジャー・ムーアがなぜか「ロジャー・ムーア役」として登場し、当時の007役だけあってパロディめいた描写も頻出、意外と身体を張って笑いを取りに行っていてそこは少し楽しめたが、それぐらいか。ジャッキーのアクションもパッとしない。カーアクションもそれほど目を見張るほどのものもない。言うまでもないが、カーレースとしても緊張感は1ミリもない。観ればわかるが、レース自体ほとんど最終的には意味を成さない構造になっている。
気のいい面白いオッサンたちが続々出てくるキャラクター映画としての良さはなくはないが、その他はバカ映画、それも頭使わずに作り、頭使わずに観る程度のバカ映画である。主人公たちがなんだかんだで愛着の湧く人物像に仕上がっているところは悪くない、というぐらいだろうか。
ちなみに、スタッフロールにはNG集あり。これがみんな楽しげで、意外とよかった。