『裸の銃を持つ男』★★★☆☆
力業で笑わせていくストロングスタイルコメディ
銃(じゅう)じゃなくて銃(ガン)だってアマゾンで初めて知った。
このポスターのパロディを某所で観たことがあり、名作コメディと聞いていたため期待して視聴。あらすじからすると『ピンクパンサー』的な感じかな、と思っていたが、だいたいその通りだった。
話としては、ポンコツ警部が犯罪捜査で引き起こすドタバタを描くコメディ、という以上でも以下でもない内容。ポスターの警部は外見の通りダンディでイケメンで声もイケボ、というモテそうな人物なのだが、その実体は思い込みと失態を繰り返しながら迷惑をまき散らす、しかしどうにも憎めない人物。彼がとある事件に巻き込まれ・・・・という感じ。
細かいギャグはどれも面白い。ただ、ひねってあるというよりは「そこまでやるか!」とこちらの予想を超えてくるタイプなので、画期的ではなく、ドリフ的な笑いをやり過ぎていく感じ。一つか二つで普通なら終わらせるところを三つ、四つ、と重ねていくから次第に笑えてくる。普通のネタでも力業で笑わせることは可能なのだ。ここらでやめとくか、というのをさらに超えていくと発生する笑いというのもあるものだ、と再確認。
ただ、『ピンクパンサー』のイギリス的な洒脱でちょっとブラックな笑いと違って、玉はあくまでストレート。身も蓋もない下ネタも散見されてそこでは少々醒める。お気楽コメディとしては充分なのかも知れないが、やはり下ネタはあえて上品にやるとか、物凄く遠回しにするとか、暗喩として機能するようにしないと時間の経過には耐えない物だな、と感じる。
かといって、キャラクターに魅力があるわけではない。主人公の警部は愛嬌はあるが、007的な古めかしいフェミニストで、ヒロインもそれに簡単に応じてくれるテンプレご都合主義キャラ。主人公の相方的な上司や部下も、瞬間的なリアクションを返す以外は「こういうひとだ」と明確にしづらい薄っぺらな設定。
『ピンクパンサー』の場合、「ポンコツだけど偶然事件を解決してしまい自分を名刑事だと勘違いしている」主人公と、「主人公にイライラし過ぎておかしくなった」上司、というコメディを走らせ続ける仕組みがキャラの性格に組み込まれていたので強かった。続編も2つあるみたいだけど、観るほどではないかな・・・・。でも、しっかり笑わせてもらいました。