週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ゴジラvsビオランテ』★★☆☆☆

 

感情移入出来るキャラを設定し忘れた、SF考証先走り作

 子どもの頃からゴジラが好きで、平成ゴジラシリーズを観て育った。しかし最初に観たのは『vsキングギドラ』で、その後は映画館でリアルタイムで観ていたものの、『ビオランテ』だけはずっと未見だった。知人と怪獣談義が盛り上がったことをきっかけに、レンタルしてきた。

 長らく観るのを楽しみにしていただけに、期待値は多少上がっていたかも知れないが、それにしても単純に完成度の低い脚本にガッカリする内容だった。終盤に至っては寝落ちしかける始末。

 

 始まってからこっち、とにかく緊張感がない。始終何かが起き、ハリウッド映画的なアクションも行われるし、ゴジラは現れビオランテも現れる、と人類存亡の危機が訪れているはずなのだが、観ていても一向に気持ちが盛り上がらず、どきどきもしない。なぜなのだろうと考えた結論が、見出し文である。

 とにかく一貫した感情移入出来るキャラクターがいないのだ。主人公格でもそうでなくてもいい。ゴジラそのものに感情移入するのでもいい。このプロットなら、ビオランテに同情させることも出来ただろう。一番容易なのはビオランテを開発した科学者である。しかしながら、どの登場人物に対しても描写が中途半端で、共感出来ない。

 

 すると一本筋を立ててストーリーを追うことが出来ないので、ただ漫然と起きたことを眺めているだけになってしまう。気に入った登場人物もいないので、死にかけたところで何のどきどきもない。救われて欲しい人物も、死んで欲しい人物もいない。感情が希薄である。

 敷き詰められているのは、この時代の映画としてはきっとかなり攻めていたであろう、バイオテクノロジーを題材にしたSF関係の設定である。しかしながら、なにぶん題材が地味なのもあって会話劇が続いてしまい、画で面白さを伝えることがなかなかできない。

 

 実際に劇中で行われているのは、バイオテクをきっかけとしたパトレイバーばりの政治・権力闘争なのだが、技術を奪われると何が起きるのか、どう凄い技術なのかが今ひとつはっきりとしない上に、やたらと登場人物がごたついているせいで、ただアタッシェケースを取り合っているだけにしか思えない。『ミッション・インポッシブル3』もそうだが、あちらと違って興奮するようなアクションもない。

 人物の心理でも事件の進展でも盛り上がりがなく、せっかくいろんなテーマを盛り込めそうな「絶望した天才博士と娘の遺伝子」というネタも、出すだけ出して一切広げずに終わる。そもそも博士のキャラ付けもマッドサイエンティスト的なことを喋りまくっているにもかかわらず、周囲は一切リアクションせず驚きすらしないので、もうひとつ立たない。なのでビオランテがどうなっても特に感銘も受けない。

 

 SFのアイディアとしては秀逸な部分も多いので、改めてトライしてみて欲しい内容ではあるのだが・・・・でもそもそも、ろくに動けない植物はゴジラの敵として適当だったのだろうか? 根本的な疑問を覚える内容だった。