週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『PARKER/パーカー』★☆☆☆☆

 

PARKER/パーカー (字幕版)

PARKER/パーカー (字幕版)

 

役に立たないおバカな素人はキャラに入れるなとあれほど言ったのに

 いわゆるポップコーンムービーは好きだし、アクション映画も好きだし、頭使わず観られる映画も好き。なので、今日もこいつを一つ観てやるか、ステイサムだし、とまあまあ期待しながら見始めたのだが・・・・いやあ、これはない。

 

 ステイサムはいつも通りなので別に構わない。圧倒的強さを誇る謎のプロ強盗で、哲学を持っていて、それに反する暴力は振るわない。犯罪を犯しながらも紳士的。なんなら人質を安心させるほどの優しさすら併せ持つ。彼が裏切られ、復讐のために走り出す。OK。期待通りの内容。

 そこまではいい。そして彼が真の悪役を倒すために命がけで走る、これもいい。なので冒頭30分くらいはまあまあ楽しいな、後半のアクションが面白かったら★4つかな、ぐらいに思っていた。

 

 ところが、途中から突如登場するジェニファー・ロペス演じる不動産屋が登場したところから事態は一変する。ステイサムがやってきた敵の潜伏地域を仕事場にしている彼女なのだが、別にストーリー上重要なキャラではない。ステイサムのキャラ・パーカーには大切な恋人もいるので、ヒロインですらない。

 セクシーな女性だが、人生上手くいかず、悩みが多いことを示唆しているが、ステイサムのほうがヤバイ問題を大量に抱えているので、彼女の悩みなど正直どうでもいいとしか思えない。そんな彼女はステイサムに物件を紹介するところから物語に加入してくるが、これが、筆者が最も嫌いなキャラ類型、「プロの言うことを聞かずに勝手に騒いで事態を悪化させて助けられるだけの素人」であった。

 

 しばしば映画やドラマやアニメに登場するこの手のキャラ、いったい誰が喜ぶのだろうか? 悪役とかモブキャラがこの役割を担うならまだわかるが、メインキャラ(特にヒロイン)がこれをやると苛立ちしか覚えない。物語が進行するきっかけが「バカがしくじったから」にしかならないのだ。

 登場人物が失敗を犯すには、なんらかの必然性なり理由(同情せざるを得ない悩み、貧困、病気、恐怖)が不可欠だろう。本作におけるロペスのキャラがしくじる理由は「お節介で人の言うことを聞かない身勝手な人だから」である。最悪としか言いようがない。

 まだ、医者とか、警察官とか、何らかのスペシャリストとして主人公にアドバイスをして、しかし闇社会の人間からするとそんなアドバイスは不要、となるならわかるが、彼女の場合は特にそんなこともない。もっというと、主人公に恋してるから、ならまだしも許せるのだが、先述の通り、ヒロインは別にいるし、主人公はあからさまにロペスのキャラに興味は無く、彼女がアプローチしているのも愛情というより打算(職業的・金銭的)が先に立っているようにしか見えない。なので彼女のお節介は邪魔としか思えない。

 

 はっきり言えば彼女のキャラが存在する意味がほぼないのだ。主人公をピンチに陥れる以外。こういうキャラを出してはいけない。金の力でジェニファー・ロペスをねじ込まれたとしか思えない不可解な脚本である。終盤、犯罪者に銃を突きつけられて怯える彼女を観ても1ミリも心配に思えないというか、別に死んじゃってもいいかな、としか思えないレベル。

 何度でも言うが、シナリオを楽に進行させるためにこういうキャラを出してはいけない。絶対に。