週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『エイリアン2【完全版】』★★★★☆

 

理想的な続編、神話性は薄れ、「よく出来た80年代SFアクション」に

【あらすじ】

2144年。57年間の冷凍催眠状態から救出されたリプリーは、音信不通となった殖民惑星・LV-426の調査の為、海兵隊員と共に旅立つ。そこでリプリーたちが遭遇したのは、卵を生んで繁殖し続けるエイリアン・クイーンの姿だった……!(amazonより)

 

 第1作『エイリアン』(★5つ)は歴史的大傑作にして画期的SFホラー、いつ観ても古びない斬新さと抽象性を兼ね備えた作品。それと比べると、完璧さやクリエイティビティにおいて劣る部分は少なくないものの、「80年代に創られたSFアクション映画」としては見事なできばえ。

 

 どうしたって前作と比べざるを得ず、また、当時も前作でやりきったあとで一体何をやるのか、と頭を悩ませたに違いない。大ヒットした1作目を受けての発注ならば、「このクリーチャーが出てきて面白いヤツを期限までに1本」といった感じだろう。

 その鬼発注の範囲内で、ジェームズ・キャメロン監督はベストを撮ったと感じる。前作が内包していたテーマを広げつつ、今回は戦争要素をプラス。更に主人公の母性という主題を、SFならではの方法で拡大し、主人公のキャラクター性を押し広げ、あれほどの絶望を味わったあとの生還者に再び闘わなければならない必然性を加味している。

 

 ただ、前作の圧倒的なオリジナリティ、制限された環境下で描かれた一種の美意識、無駄のなさ、神話的な物語としての厚み(抽象的であることで、様々な暗喩を感じさせる)と比較すると、どうしても見劣りしてしまう。本作がダメなのではなく、前作が圧倒的すぎるのだ。

 登場する軍人たちのキャラクター、リプリーが救おうとする子ども、前作同様登場する人造人間(『ターミネーター2』と同じパターン)、どれもキャメロン流になっており、見やすいしわかりやすいがどこも既知のもので構成されている。優等生的続編なのは間違いない。

 また、技術的に困難な、派手なSF要素をたくさん盛り込んでいるが、合成技術やミニチュアがそこまでパーフェクトな仕上がりではないので、今の目で見るとどうしても粗が目立つ。本作以前の『スター・ウォーズ』などではここまで気にならないので、そのあたりもやはり制作時の制約やこだわりの強さによってきているのだろう。

 

 神経質なまでにパーフェクト、ではない。でも充分面白い。