『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』★★★★☆
完璧主義の天才の裏側をチラ見出来る、ファンにとってはたまらない1作
あらすじ
マイケル・ジャクソン──キング・オブ・ポップ 。その偉大なる素顔と感動のラストステージがブルーレイでついに登場! 映画では明かされなかった『未公開映像』も一挙収録”THIS IS IT”がリハーサル映像により奇跡の映画化! 今年の夏、ロンドンのO2アリーナで開催されるはずだった彼のコンサート”THIS IS IT”。本作は2009年4月から6月までの時間の流れを追いつつ、百時間以上にも及ぶリハーサルと
舞台裏の貴重な映像から構成されています。幻となったロンドン公演の監督を務めていたケニー・オルテガが映画も監督し、全世界同時公開された。(amazonより)
世代的にマイケルの直撃は受けておらず、すでに伝説になったあと、あまたのスキャンダルにまみれている人・・・・というイメージのほうが強い。そして突然亡くなった、という印象で、実際のパフォーマンスを観る機会があったのは没後だった。
なので、今まで接したことがあるのはYoutubeなどで観られる動画がほとんど、そこで初めて凄い人だったのだ、と知った程度で、楽曲もあまり知らず、正直に言えば曲自体もそんなに好きではない・・・・というのが筆者である。
というわけで、本作を評価したりどうこう言ったりする資格は全く無い。冒頭に宣言されているように、「For Fans」の映画なのだ。
筆者はクラシック音楽が好きなのだが、『アマデウス』だけを観てモーツァルトを語るヤツがいたら腹が立つだろう。それとはちょっと違うかも知れないが・・・・しかし断片だけではマイケルがどれほど偉大だったのか、論じることはできない。そもそもリハーサル風景しか見られないので、劇中でも彼自身が言っているように、100%のパフォーマンスを見せているわけではないのだし。
ただ、そんな門外漢でも、作中でマイケルが共演者たちに伝えている指示の厳しさ、天才特有の不明瞭さ、それに対する周囲の困惑は伝わってきた。非常に抽象的で感覚的なことしか言わないので、世界一級クラスの音楽家やダンサーたちでも、どうするのが正解だかわからなくて困っているのがよくわかる(笑)
マイケルの中には正解があって、彼自身の中ではどうすればいいのかはっきりしている、けれど伝達の明快さは誰からも求められてこなかったので、抽象的な感覚そのものしか口にしてくれない。こういう人には翻訳者がそばに必要なのだが、マイケルにはいたのだろうか。
これだけの巨大なショーを行いながら、ショーの中では環境問題に対する意識を歌っている。そこに矛盾を感じない、純な人だったのだろうな、と少し、面白く感じた。