『プロジェクトA』★★★★☆
細かい疑問はあれど、100分きっちり楽しませる命がけアクション
あらすじ
ジャッキー・チェン×サモ・ハン・キンポー×ユン・ピョウの香港三大スターが集結した伝説のアクション!! 悪の海賊相手に突撃海兵隊長が大暴れ!決死の”A計画”始動―― 自転車を駆使したミラクルチェイス、高さ25メートルの時計台からの落下など、体を張った命知らずの見せ場が続出!エンディングロールのNG集まで、全編クライマックスというべき痛快活劇巨篇。(amazonより)
明日は文芸作品鑑賞予定なので、今日は楽しい1作で。しばらくぶりのジャッキーアクションは、案の定目を疑うようなシーン連発で、楽しく観れた。
筋立て自体は上の通り、特にどうということはない勧善懲悪。愚かな役人の上役に対してジャッキーが吐く言葉は胸を撃つが、そこを除けばとにかく闘いまくりのアイディア満載アクションである。
自分も「自転車アクション」「25m落下」などは以前から話には聞いていて、そのシーンが来るとおおっと胸が躍ったが、思いの外さらっと終わってしまう、というか中間パートの1アイディアに過ぎないあたりは出し惜しみしない姿勢がうかがえる。落下アクションなんかはエンディングなのかとてっきり思い込んでいた。
ハリウッドアクションと違ってジャッキー映画は、常に笑い、ユーモアが満ちていて、しかもさらりと朗らかに笑わせてくれるのが嬉しい。嫌みも無く、わかりやすく、余計なメッセージ性もない。落語的な滑稽味。今作ではチャップリンの引用が随所にあったが、そのあたりのコメディセンスも引き継いでいるのだろう。
シナリオに関して言うと、シーンの繋がりがわかりにくかったり、登場人物が多いわりに尺は短いので若干混乱があったり、そもそもサモハンのキャラは必要なのかと疑問に感じたりと引っかかりは少なくない。主人公たちの捜査の過程は二転三転しているのだが、悪役がキャラを立てる前に負けてしまうことが続くので、立ち向かうべき悪がどうもぼんやりしているのだ。
本当ならあと20分くらいあれば、登場人物の心情やキャラクター性ももっと描けただろう。ジャッキーの彼女的なキャラも、特段活躍するシーンも無く終わってしまった。
しかし、これはもう割り切って、映画館に来た人が目先の愉しさを味わえるかどうかを優先しているのだろうと思う。説明は足そうと思えばいくらでも足せる。それをあえていれていないのは「たるい」と判断したということ。幸い、何が起きているのかわからなくなるほどの混乱はない。
胸のすく活劇、以上でも以下でもないが、ハードなアクションでいっぱいの快作。ところで、どうもコマ落ちしているように見えたのは、Netflixのデータがおかしいのだろうか? それとも現存するデータ化フィルムに問題があるのだろうか?