週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『イップ・マン 葉問』★★★★☆

 

イップ・マン 葉問 (字幕版)

イップ・マン 葉問 (字幕版)

 

 史実とかもうどうでもいい英雄譚化=中華版ロッキー。だがそれがいい

あらすじ

1950年、イギリスの植民地の香港に、広東省から家族を連れて移住した中国武術詠春拳の達人イップ・マン。待っていたのは、この地を仕切る洪拳の師匠ホンとの激闘だった。勝負は決着がつかぬまま、武館閉鎖に追い込まれるも、公園で黙々と弟子を指導し続けるイップ・マン。そんな時、中国武術を侮辱したイギリス人ボクサーに立ち向かったホンが…。(amazonより・一部編集)

 スカッとしたくてようやく続編観賞。心からワクワクしながら見始めて、期待を裏切らない内容に大満足。

 シナリオは実のところ、前作よりも単純・・・・というより、前作以上に完全なフィクションだからか、最早割り切って直球で攻め込んできている。前作のラストで移住してきた香港で苦労する主人公・葉問。妻と子を養うために武館を開くも、未知の土地ではどうしようもなく参ってしまう。そんなとき、占領していたイギリスの警察が横暴に振る舞い・・・・と、前作で日本軍が担っていたポジションを今度はイギリスが担当。

 まあ要は、中国拳法vsボクシング、というお話なのだが、もう展開が、前作を意識的に定式化、というかテンプレート化して、中身を置き換えたような感じになってきている。1作目に居たあの人はこの人に役割だけそのままで置き換えられ、それによって葉問に生じる感情も同質で・・・・。

 

 何に近いか、といえばもう、『ロッキー』シリーズだろう(笑)。ロッキーはもうとにかく全作品(5以外)は同じ構成で、それでも面白い、というどうかしている作品だが、詰まるところ面白さは毎回、「ロッキーは今度はどんな敵と戦ってどうやって乗り越えるんだろう」という1点、そしてそれが成り立つのはロッキーのキャラクターがとんでもなく魅力的だからなのだが、本作も2作目にしてその雰囲気を醸し出しつつある。

 本作の場合はロッキーと違い、葉問が最初からチート級に強くて絶対に負けるわけないので、むしろ安心しながら観られる。さらに、虐げられる中国の民が外敵と正面から戦い、誇りを守り切るという物語なので、民族的高揚感も含まれている。この辺の若干政治的要素と、今回ボクシングが題材という点で、観賞後の印象は『ロッキー4』に近かった。

 

 そして忘れてはいけないのが今回は、SPゲスト、サモ・ハン・キンポーがいるということ。葉問と対立する流派の師匠を演じているが、いい年齢かつでっぷりした体つきながら、相変わらず動きは若い頃同様目にもとまらぬ早業で、もうたまらない。ある意味、葉問以上の存在感と印象(もっとこの人を観ていたい!と思わせる)を残すあたり、やはりスターだなと思い知る。

 さてシリーズ3作目は何と闘うのかなー、とすでに期待。このままいつまでもシリーズに続いて欲しいという気持ちになってきている。