『ゾンビーワールドへようこそ』★★★★★
邦題で盛大に損している王道青春爽快ゾンビコメディ
あらすじ
スカウトに所属する3人組とタフなバーのウェートレスが、ゾンビに侵食されたのどかな町で人類を救うため、スカウトで培った技術を生かして名誉のために奮闘する。(amazonより)
怖がりなのでゾンビ映画に詳しいわけでは全くないのだが、たまに「荒っぽくて楽しい」あの感覚を味わいたくてチョイスすることがある。Amazonでの評価がすこぶる高かったので期待して視聴。
期待通りの直球で荒っぽいがバカバカしくて気持ちいい、青春コメディの王道作品だった。90分という短い尺でキャラを立て、シチュエーションを動かし、気分良く終わる。見本のように良くできた作品。
何がもったいないと言って、日本版のクソダサタイトルで盛大に損しているのが惜しすぎる。本作はボーイスカウトを高校生にもなって続けている3人の少年が成長していく物語で、現代はズバリ『Scouts Guide to the Zombie Apocalypse (ボーイスカウトがゾンビ終末世界へご案内)』。ボーイスカウトならではのシーンやあるあるネタが目白押し・・・・なのだが、あいにく日本人である筆者には、そのあたりのニュアンスは完璧には伝わってこない。
どうやらボーイスカウトを高校生になってもやっているのはクソダサいことらしく、それ自体はなんとなくわかる。向こうではハイスクールに行ったらクラブで踊って勢いで・・・・ぐらいがかっこいいとされているようで、そりゃ山で木を削ってマシュマロ焼いて食べましょうみたいなのはクールではないだろう。
多分「ボーイスカウト×ゾンビ」というのはその辺のニュアンスがわかる人にとってはツボなのだろうが、そうでもない人間に対するアピールとしては「イケてない3人組がゾンビとバトって大逆転!」ぐらいだろう。しかし実際、このボーイスカウトの残念感は日本語に翻訳しづらい。
ストーリーは繰り返すように王道。いまいちイケてない3人組と、憧れの美少女、その彼氏で小馬鹿にしてくるイケメン、そしてドギマギするちょっと年上のエッチな女の子。これだけ要素が揃ったら展開はおおよそ決まってくるが、さらにゾンビ騒動への対処が一つ一つ細かく笑わせてくる。
特別なオリジナリティがさほどあるわけではないのだが、テンポが絶妙に良いので笑いながら見続けてしまう。ローバジェットだが安っぽさはどこにもなく、恋愛要素も程よくあっさり。ゾンビに命を脅かされている割に登場人物は友情や欲望に支配されがちだが、ライトなゾンビコメディでそこを突っ込んではいけないだろう。
取り立ててどこがすごいというわけではない。一つ一つがよくできているので全体として出来が良い。休日に気軽に見るのにぴったり。オススメです。