週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『名探偵ピカチュウ』★★★★☆


映画「名探偵ピカチュウ」世界最速公開

ポケモンユニバースの第1作として大成功の、子どもから大人まで楽しめる良作

あらすじ

 子どもの頃にポケモンが大好きだった青年ティムは、ポケモンにまつわる事件の捜査へ向かった父ハリーが家に戻らなかったことをきっかけに、ポケモンを遠ざけるように。ある日、ハリーの同僚だったヨシダ警部から、ハリーが事故で亡くなったとの知らせが入る。父の荷物を整理するため、人間とポケモンが共存する街ライムシティへ向かったティムは、自分にしか聞こえない人間の言葉を話す“名探偵ピカチュウ”と出会う。かつてハリーの相棒だったという名探偵ピカチュウは、ハリーがまだ生きていると確信しており……。(映画.comより)

 筆者はポケモン世代ど真ん中で、小学生の頃に発売された赤・緑をプレイして以来ずっとゲームは追ってきている。アニメはさすがに途中で卒業したが、初期の映画はリアルタイムで鑑賞してきた。思い入れは深いほうだと思う。

 なので最初の予告編を見たときは不安になり(というか正直評判にならなかったゲーム『名探偵ピカチュウ』を題材に映画化、という情報を聞いたときから不安だった)、何度も観ているうちに馴染んできて楽しみになり、現在に至る、という感じ。そして観てみての感想も上々。100分未満とあっさりとした味わいながら、画面中を動き回る無数のポケモンが実写映像になっている、というのがもう楽しい。

 

 予告編の時点では喋りまくるライアン・レイノルズピカチュウを楽しむ映画かと思っていたが、実のところ、ポケモンの設定の深い部分にまで踏み込むストーリーにのっけからニヤニヤしてしまった。一発目だからもっと遠慮した内容、あるいは浅い内容になるかと思っていたが、真逆でファンが嬉しくなるネタをぶっ込んできている。

 尺の都合もあり、どのシーンも少々急ぎ足なのは残念なところ。どの場面も「もうちょっと観たい!」と思わせてくる長さになっている。人物の描写も奥行きを作る余裕がないので、どうしてもややステレオタイプ的になってしまっているのは惜しいところ。これはアニメのポケモンムービーを観ていたときもそうではあったのだが・・・・。

 

 子ども向けを意識しての尺だと思うので理解は出来るが、ピクサー作品などを観ていても、子ども向けだからと言って単純明快な人物像しか描けないわけではない。「なぜこの人はここまでの行動を取ったんだ?」と疑問に感じる部分も。タイトル通り、ミステリとしての要素も兼ね備えているので、登場人物の「動機」はどうしても気になってしまうのだ。

 完全なフィクションの世界であるポケモンの物語で、人間の人生を感じさせるのは困難だとは思うものの、これからシリーズが続いていくなら、この部分のナラティブにも力を入れて、アラサーのポケモンファンが観て楽しめる内容になってほしい。

 ただ、その分ポケモンの描写はとにかく力の入れようが凄い。「そういえばそんな設定あったな!」と思い出すような場面、ポケモンの能力の意表を突く使い方、驚くほど原作に忠実だった。人生の半分以上ポケモンファンの自分からしても「あーこれ違うんだけどなー・・・・」と感じる部分は全く無かったので、大変満足。

 

 思いも寄らないくらいちゃんとミステリー要素あり、ダークな部分もあり、都市描写も自然描写もバランスよく取り入れつつ、どんでん返しあり、笑いあり、意外なところで涙あり、と気を抜いていると力強いシーンに心揺さぶられる。ここまでやるには作り手の側に愛情が不可欠だろう。画面の隅々まで敷き詰められた世界観描写で情報過多、というのはスターウォーズを思い出す。ストーリー展開がとても明瞭になり、かつバディものになる探偵物語を題材にしたのは大正解だった。

 ポケモンを始めたばかりの子どもが観ても、ずっとポケモン好きの大人が観てもワクワク出来る1作。ポケモンユニバース第一弾映画としては上々の出来なので、これからどんどん、同じ世界観・同じポケモン描写でいろんな映画を作っていって欲しい、と思う。