週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ゴジラVSキングギドラ』★★★★☆

ゴジラVSキングギドラ

ゴジラVSキングギドラ

 

 ハリウッドSF要素ごった煮サービス満点ゴジラ、荒いがこれもまたよし

あらすじ

日本に未来人の乗るUFOが飛来し、ゴジラによって日本が死滅されることを予告する。それを阻止するには、かつてゴジラがまだ放射能におかされていなかった恐竜として密かに生存していた1944年の太平洋戦争下にタイムワープし、ゴジラを消滅させるしかない。しかし、そこには未来人の陰謀が隠されていた…。(amazonより)

 

 自分が一番なじみがあるのが平成ゴジラシリーズ。特に、VSキングギドラ以降はリアルタイムに映画館で見ていたので思い入れも強い。なので、たぶん客観視は出来ていないだろう。オススメ度合いもそのバイアス込みで観て欲しい。

 何十年ぶりかに観たが、やはりこの頃からのゴジラはスタイルがよくてカッコいいし、キングギドラも美しい。ミニチュアの出来もよい。シナリオも、やりたいことをとにかく全部盛りにしていて(収拾ついているかは別にするとしても)、熱さ若さを感じて面白かった。

 

 『未知との遭遇』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ターミネーター』、あまたの戦争映画、さらになぜか『鉄男』と、オマージュが大量に詰め込まれている。一個一個の完成度も意外と低くないのだが、わりと元ネタがはっきりわかる形で引用されているので、知らない人(子どもの頃)は楽しかったのだが知ったあとだと微笑ましくは感じられる。

 また、タイムパラドックスもそうだが、細かい部分を詰めていくと登場人物の行動の狙いなどにも詰めの甘さが残る。様々な合体させた要素に収拾を付けるための狂言回しとして月刊ムーに寄稿しているオカルトライターが主人公として登場するのだが、彼も強く感情移入するほど状況に巻き込まれていない(切実に事態を解決しなければならないほど問題に関わっていない)ので、常に他人事感が漂っている。

 ゴジラ自体も、わざわざタイムトラベル&ワープなどを駆使して存在を消滅させようとするという熱い展開があるにもかかわらず、結局やろうとやるまいとゴジラは出現してしまう、という一体そこまでの努力は何だったんだオチが待っているので若干脱力感が残った。

 

 だが、元日本軍の兵士である登場人物には、長い時間を描いた作品だからこそのドラマ、ゴジラだからこその奇妙な縁の物語が用意されていて非常に味わい深い。生と死をゴジラという非日常的存在に支配され、あの日、死んだはずだった人間が再び巡り会う運命は、SFならではの描写だった。ここをもっとフィーチャーすればかなり厚みのあるストーリーに出来たと思うのだが、さすがに題材として渋すぎるか。

 また、旧日本兵とSFを組み合わせた物語というのは映画だとあまり見当たらないのではないかと思うのだが、そういう意味でもオリジナリティがあってよい。

 

 さらに、終盤の新宿での対戦はがっつり豪華な巨大生物同士の争いを描いていて見応え抜群。細かいことは気にせず、ゴジラカッコいいなあ、怪獣映画楽しいなあ、で満足したい人には、シリーズ中でもかなりオススメの1作と言える。