週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ゴジラ FINAL WARS』★★★☆☆

 

他人に薦める気にはならない、中二病B級特撮。これが最後にならなくてよかった・・・・。

あらすじ

時は近未来20XX年、世界各地で核実験や戦争が行われた結果、多くの怪獣が目を覚ましてしまう。その脅威に対すべく、国連は地球防衛軍を結成し、日夜怪獣たちの脅威と戦っていた。そんな中、宇宙から訪れたX星人は怪獣を一掃し人類との友好を求める。しかし、本当の目的は地球侵略で、怪獣を送り込み地球総攻撃を開始する。時を同じくしてゴジラが覚醒、地球を舞台とした15大怪獣によるファイナル・ウォーズの幕が切って落とされる!

  6月はゴジラを観すぎた疲れからか、他の映画も鑑賞量が減ってしまいいささか反省。とはいえ、アマプラにゴジラが上がっている限りは出来るだけ頑張ってゴジラを観たい所存。

 さて、以前から気になっていた『ファイナルウォーズ』をようやく観賞。予告編を観た時点でしんどさを感じていたが、本編を見ると更にしんどい。とはいえ、ののしりたくなる気にはなれないから不思議なもの。

 

 内容に関しては、シナリオは★1つ(もしくはそれ以下)、演技も★1つ、演出も★1つ、映像の作りは少しましで★3つ、怪獣が一杯出てきたのでそれを勘案して★3つといった印象。正直褒めるべきところは怪獣が一杯出てきたところ以外にはない(断言)。

 ストーリーについては、はっきり言うが中学生が考えたレベル。もちろん怪獣大決戦系列の作品なので、シリアスさなどは求めてはいけないことなど百も承知なのだが、ダメなのはその荒唐無稽さではない。荒唐無稽でも成立させられることは『マッドマックス』や『キングスマン』を観ればわかること。奇妙な世界でもその世界の中でのルールや哲学が一貫していれば、没入して観られる。

 

 本作の問題は、登場人物の心理や行動に常識も無ければ良識も無く、発想の飛躍が多発してついていけないところにある。どんなに異常な世界であっても、人間の思考がきちんと順序立てて組み上げられていれば共感出来るのだが、本作にはまったくそれがない。どこかの下手くそなマンガやアニメで観たような発言が実写で連発され、品がない。人間の描き方を知らない人が作ったのだろう。

 女性の描き方も幼稚この上ない。執拗にミニスカートを穿かせ、理由もなく脚を映したがる。近未来だと主張しているが、まだ昭和のいつかだと言われたほうが理解出来る。ライバル関係にあるらしい主人公たち、過去にいろいろあったらしい偉いおじさんたちも、テンプレを重ねているだけだからなんの説得力も無い。

 

 今時、こんな登場人物ばかり描いていたら新人漫画家の読み切りだって通らない。こんな映画が2004年に作られたというのが何かの間違いとしか思えない。それなりのキャストが何人も出演しているのだが、こんな脚本でどうして出てくれたのか理解に苦しむ。最後のゴジラだから、と言われて受けてくれたのだろう。

 宇宙人役の北村一輝レベルになると、もうこれは笑わせようとしてやっているのだろうとわかったが、それ以外の人物はそのあたりの加減が非常に中途半端で首を傾げる。『マッドマックス』にしたいならもっと正気を失わないとダメだろう。哲学や思想を越えた、生存への強烈な欲求、という地獄を本気で描いているから、あの作品は面白いのだ。

 

 本作では半端な世界観に引きずられて、どの人の芝居もコント以下になっているのだから恐ろしい。15体も怪獣を出して世界を崩壊にまで導いたのだから、もっと必死で絶望させれば面白くもなったろうに。妙な恋愛の雰囲気とか自己愛の吐露とか描いている場合ではない。

 ちなみにアクションばかり描きたがって通常の会話のシーンは棒立ちばかりで演出皆無、そしてアクションは微妙に長い割りに特に何かを描いているわけではないので意味が薄い。アクションは派手だったらいいのではないのだ。以上、人間パートは壊滅的で褒めるところはない。

 

 のだが、怪獣が一杯出てきて派手に闘っているので評点がぐっと上がって★3つになった(人間の芝居に対する評価と全然違う)。ただこれも、シンゴジラのようなシリアスな闘いは全く無く、いわゆる怪獣プロレス、昭和のゴジラの進化形なので要注意。

 B級映画を笑って観られる人は観てもいいだろう。暇で、ゴジラが好きなら。そうでないなら観ないほうがよろしい。