『イージー★ライダー』★★★★☆
かなり前から名画と名高い作品として見よう見ようと思って早数年。ようやく鑑賞。想像通りのビターなロードムービーで、この時代の空気はよく伝わってきた。想像以上にはっきりとした言葉で語られているのは少し意外。
主役二人が監督や脚本を兼ねた、低予算丸出しの映画だが、結構大切な役柄にジャック・ニコルソンが登場し、印象を残して去っていく。尺も短い100分足らずの作品。
ストーリーと言えるほどの具体的な筋立ても特になく、主人公二人が走り続ける中でたまさか出会った(奇妙な)人々と、触れ合い、別れる様をひたすら乾いた描写で見せるばかり。要所要所にカントリー調のロックがBGMとして流れ、映像とマッチして時代の雰囲気を伝えてくれる。
本作が発表されたのがヴェトナム戦争中だということが、背景として大切なのだろう(恥ずかしながら鑑賞中は何も考えていなかったが)。登場する人々は、社会から逸れたものばかり。ヒッピー以外で若い男性が現れないのは、この時代だからこそである。
自由の国を標榜するアメリカで、本当の意味で自由を謳歌する人々が走り、悲しみ、逸脱が過ぎると文字通り打ちのめされる。自由ではあるが自由すぎてはならない、というバカバカしさをさらりと描いた良作だった。