『IT THE END ”それ”が見えたら、終わり。』★★★☆☆
前日に1作目を再度鑑賞し、万全の体制で『Chapter 2』を鑑賞。
悩ましい。映画としては正直、★3つといったところ。前作ほどのジャンルムービーとしての美しさがないのだ。アイディア不足なのか、それとも物語の構成上仕方ないのか。
1作目はジュブナイルムービーでもあったので、そのノスタルジーに浸れる意味でも二重に嬉しい作品だったのだが、本作は大人たちが27年前のことを思い出そうとする、という構成。前作では描かれていなかったことがたくさんあった・・・という内容。
ネタバレを避けると、ある登場人物に関してはなるほど、この構造だからこその納得のいく物語が描かれていた。本作は実質その登場人物が主役と言ってもいいくらいの活躍を見せる。しかし、他の人物に関してはどうだろうか。
ホラー映画の2作目の場合、登場人物が同じだと、1作目で成長したはずの彼らがどうしてもう一度事件に巻き込まれなければならないのか、恐怖を克服したはずなのに、という部分がどうしても気になってしまうのだが・・・そこに関する描写はほぼ皆無だった。1作目の彼らの頑張りはなんだったのか。
ノスタルジーに振り切るならそこにもっと力を入れて、嫌な田舎、嫌な大人たち、でも自分たちもそんなのになってしまった、みたいな、大人編でなければ描けないことを描くべきだと思うのだが、やっていることがほとんど子供編の再生産に近いものだから、正直新鮮味は薄い。流石に繰り返し感が強いのだ。
プラス、1作目は怖がっているのが子供だから、少々のことで怖がっていてもそんなに違和感はなかったのだが、40代のいい大人たちが驚くにしては幼稚過ぎないか・・・と感じる部分もちらほら(ペニーワイズのやっていること自体は一貫している)。これはもう、「怖いと思うもの」が大人になると変わってしまうので仕方ないとは思うが。
そして、ペニーワイズとの対決も1作目の方が好きだったな・・・。あくまで「ホラー映画」というジャンルの中でなんとかしていた1作目、アメリカの田舎町だからこその物語になっていたと思うのだが、今回はむしろ『ハリー・ポッター』あたりに近い雰囲気。
それに、オカルト的説明のパート。おそらく原作だとちゃんと説明しているのだろうが、尺の都合ですっ飛ばされたのは疑問だった。普通に口頭で説明することもできる程度の内容だったと思うのだが。なぜあのような変わった描写で収めようと考えたのか・・・。
だったら「全く訳がわからない、奇怪な化け物」で漠然と閉めた方がいいと思うのだが・・・。それでも、退治する方法はいかようにでも作れたと思う。あの終わり方なら。
とはいうものの、個人的にはペニーワイズの活躍をたくさん観れたのでまあ満足(本心からいうと、CGをあまり多用せずにビル・スカルスガルドの演技力でもたせていた1作目の方が好きなのだが)。これからゆっくり、原作を読んでいこうと思う。