『地球、最後の男』★★☆☆☆
『インターステラー』も『月に囚われた男』も好きだし、『2001年宇宙の旅』も楽しめた口なので、それほどターゲットから外れてはいないと思うが、とりあえずSFが観たくてチョイスしたこの映画は大いにハズレだった。
特撮自体はそれほど悪いものではない。宇宙のCGは美しく、宇宙ステーション内もよく作り込まれていた(またしても謎の重力が働いていたが、もうこれは回転している描写がなくても回転していると捉えるべきなのだろうか)。なので、低予算ではあると思うが、そこまでB級感あふれているわけでもない。演技もなかなか迫力があった。
つまるところ、宇宙ステーション内にたった1人で取り残され、何年もの時間が経過していった1人の男の物語である。雰囲気としては『5億年ボタン』(マンガ)に近いかも知れない。することもなく、ただただ時間だけが過ぎ去っていく。主役の筋肉がみるみる衰えていくシーンなど、どうやって撮っているのかわからず目を見張った。
そんな狂気へと向かう緊張感で途中まではまあまあ、楽しんで観ていて、これで落としどころが悪くなかったら結構いい作品なのでは、と期待していたのだが、後半部分で一気に失速する。哲学的な、と言うにはあまりにぼんやりとした方向に舵を切ってしまい、なんだこれ、と思っている間に終わってしまう。『2001年』もそうといえばそうなのだが、あの作品ほど雄大な解釈の可能性までは見せてくれない。ただ主人公があっちこっち宇宙服を着てうろうろするだけだ。
宇宙ステーションを洞穴のように使いながら狂気へ下りていく主人公の姿は悪くなかっただけに残念。