『まぼろしの市街戦』★★★☆☆
第1次大戦終結前夜、北フランスのとある田舎町が精神病院から脱走した患者たちによって乗っ取られ、夢幻のような生活を送る中、イギリス軍とドイツ軍が街で衝突することになり・・・・という実に独特の筋立てを持ったお話。
フランス映画らしい非常に観念的な部分の強い作品で、どちらかというと寓話に近いだろう。やりようによっては振り切ったコメディにも出来たはずで、そんな話であることを期待していたのだが、夢物語、幻想文学的な側面のほうが印象に残った。
筆者が当時の戦況についての知識が薄いことに問題があるのかも知れないが、町を破壊するかも知れない爆弾がどんなもので、どう危険で、いつ何が起こるかも知れなくて、それに対して主人公は何をしなければならないのか、というのが常にぼんやりとしている。爆弾をどうすれば問題は解決するのか、解体でもすればいいのか、仲間に状況を知らせなければいけないのか、導火線を切ればいいのか。「●●をしなければ!」といった目的設定のセリフがはっきりしないので、話が進んでいるのか停滞しているのかもよくわからないのが残念。
ただ、状況の設定、幻の市街戦というより「まぼろしの街」が出現する、というシチュエーションは非常に魅力的なので、雰囲気を楽しむ分には悪くない作品だと思う。