『ドリーム』★★★★☆
サブタイトルの件であれこれ話題だった『ドリーム』。面白い映画だった。メインキャラは黒人女性で数学者・エンジニアの三人。彼女らが全員とても上手くキャラが立っていて、全員少しずつ違うベクトルでの悩みを抱えている。だが、基本的に性格は陽気なので、観ていて陰鬱になる部分はほとんどない。黒人・女性に対する差別の様は終始描かれ続けているものの、決してねちこく説教臭く描こうとはしていないのだ。
NASA史上に残る天才たちの物語なのだが、きちんと彼女たちの日常生活にも目を配っているのも好印象。仕事一辺倒でもなく、喧嘩ばかりでもなく、きちんと日々を生きているからこそ、一枚岩ではない人間性が伝わってくる。それによって、三人全員にそれぞれ愛情を感じるようになる。
映画を観ていて感じたのは、他人と違う仕事をすることの大切さ、というところだろうか。誰かがやっていることや、流行っていることをやっても意味はないのだ。先を見据えるのか、他人がやりたがらないことをやるのか。自省も込めて。超傑作、とまでは言わないが、良作。