週に最低1本映画を観るブログ

毎週最低1本映画を鑑賞してその感想を5点満点で書くブログ。★5つ=一生忘れないレベルの傑作 ★4つ=自信を持って他人に勧められる良作 ★3つ=楽しい時間を過ごせてよかった、という娯楽 ★2つ=他人に勧める気にはならない ★1つ=何が何だかわからない という感じ。観賞に影響を及ぼすような「ネタバレ(オチなど)」は極力避け、必要な場合は「以下ネタバレあり」の記載を入れます。

『ボウリング・フォー・コロンバイン』★★★★☆

 

ボウリング・フォー・コロンバイン [Blu-ray]

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  ドキュメンタリー映画の内容の正否、事実か否かを評価するほどの知識が無いので、あくまで映画としてしか評価出来ないけれど、面白い作品だった。

 マイケル・ムーア監督が主人公で、とにかく彼が様々な人に、あまりに率直に質問をしに行く。その様子がいかにも「その辺のオッサン」という感じがするあたりが上手いし、面白い。彼の身形も、たぶん普段通りなのだと思うけれど、休日の夕方に思いついて飲み屋に行くときのようにすら見える。けれど質問は明瞭だし、映画の論展開は非常にロジカルだった。

 もちろんドキュメンタリー映画で行われる主張を、言われるがままに受け止めるわけにはいかない。監督によって切り取られているものである以上、当然「偏り」が生まれるし、そこから逃れることは出来ない。銃を擁護する側にも意見はあるだろう。たとえば銃のおかげで助かった、という人は(おそらく)いるだろうし、その意見は尊重する価値はある。

 ただ、このドキュメンタリーがよいのは、そのレベルに留まらず、もう一歩深いところまで論を進めているところだろう。銃を持つ人は、手放したがらない人は、なぜそうなるのか。なぜアメリカだけ銃による死者が異常に多いのか。はっきりしたデータを示しながら、政治的な議論だけではなく、社会的な問題の根源にある感情の原因について、取材を重ねている。

 実際の事件に関わった人々と接した以上、多少感情的な部分が出るのはやむを得ないのだろう。オススメです。